生誕100周年の老舗スポーツブランド
「Wilson」は米国シカゴに本社をおくスポーツブランドの老舗で、2014年には生誕100周年を迎えています。
テニス、ゴルフ、野球、バドミントンなどの商品をメインに販売し、テニスラケットにおいてはHEAD(ヘッド)やBabolat(バボラ)といった名だたるブランドを抑えて、世界シェアの約3割を占める圧倒的なトップブランド。
スイスのロジャー・フェデラー選手や日本の錦織圭選手などテニス界のトップ選手と契約し、共同で商品開発を行っています。
「Wilson」は、1913年に精肉業者であったシュバルツチァイルトが精肉の際に出る皮やスジを再利用できないかと考え、スポーツ用品を製造したのが始まりでした。
精肉の副産物を加工する研究を行い、その2年後には商品として初めて、手術用の縫合糸、テニスラケットとストリング、野球用シューズを世に発売しています。
その後も、自社開発の製品が公式バスケットボールに採用されるなど、各スポーツで伝統に残る用具や世界的な基準を作ってきました。
Wilsonのロゴマークである「W」はwin(勝利)の頭文字を由来とし、「ひとりでも多くのプレーヤーが心からの満足を得られるように」という想いが込められています。
ラケットに業界初の新素材を使用
Wilsonは「最適な用具の使用が競技者の力を確実にアップさせる」を信念に、日々進化したスポーツ用品の開発を進めています。
特に、2018年に新テクノロジーとして開発された「カウンターヴェイル(CV)」は、業界初の新素材を用いたことで注目されています。
カウンターヴェイルとは、アメリカの材料研究・素材開発の大手マテリアル・サイエンス社とNASA(アメリカ航空宇宙局)が共同で開発した炭素繊維のこと。
それまでの炭素繊維よりも30%も多い量のカーボンを含み、振動を除去する他に類をみない素材として、現在カウンターヴェイルはロードバイクの緩衝材としても使用されています。
カウンターヴェイルは外からの衝撃を吸収するだけでなく、体が生み出す微かな振動も吸収します。
ラケットのグリップ部分に搭載することで、手のひらの微振動が大きな揺れとなってラケットの先端へ伝わることを防ぎます。
特にバドミントンのサーブの際など、繊細な動きが必要となる場面でシャトルへの不必要な微振動を取り除いてくれるため、サーブの成功率があがります。
Wilsonでは既存シリーズのアップグレードモデルとして、このカウンターヴェイルを搭載したラケットを販売しており、特にバドミントンにおいてはピタッと照準をあわせる「オートフォーカス機能」となることを目指して生み出された技術の1つです。
バドミントンラケットは全4シリーズ
Wilsonのバドミントンラケットは、2006年から国内販売がスタートしました。
プレースタイルに応じて、現在4つのシリーズが存在しており、シリーズごとにフレームの形状が異なります。
「ブレイブシリーズ」はスピードに特化しており、空気を切り裂くフレームとしてWilson史上最軽量のシリーズとなっています。
「フィアースシリーズ」はコントロール重視の設計で、女子バドミントンダブルスの松友美紀子選手と共同開発したWilsonの看板モデルです。「軽くて飛ぶ」のコンセプトのもと日本人女性のためにうまれたラケットであり、慣れればショットの精度は確実にあがると評価の高いシリーズです。
「レコンシリーズ」はパワー重視のモデルで、フレームの内側4箇所を突起させることでラケット面がより安定し、咥えこむようにキャッチしたシャトルをよりパワフルに打ち出せるよう設計されています。
4つめの「エクスカリバーシリーズ」は、昨年2021年12月に新たに発売されたばかりのオールラウンダー向けです。
これまで発売された3つのシリーズではスピード・コントロール・パワーといった、それぞれのプレースタイルに沿ったモデルを展開していました。エクスカリバーシリーズではそのどれかに特化させることなく、すべてのショットの可能性をあげるため、攻守ともにコントロール性をもつスペックとなっています。