「キングオブバドミントン」と称されたリン・ダン選手をご存じでしょうか。
数々のビッグタイトルを手中に収め、中国代表として約20年活躍し続けた伝説のレフティです。
今回は多くのバドミントンプレーヤーに影響を与えた、リン・ダンのキャリアやプレーの特徴をご紹介します。
リン・ダンのプロフィール
名前:リン・ダン(林丹)
出身:中国福建省
生年月日:1983年10月14日
身長:178センチ
利き手:左
キャリア・エピソード
リン・ダンのキャリアや特徴的なエピソードをご紹介します。
若くして才能が開花
リン・ダンは16歳で中国のジュニアナショナルに選出され、2000年のアジアジュニア選手権を制しました。10代後半で中国代表の一員となり、2002年の韓国オープンでシニア大会の初優勝を飾ります
その後も順調に獲得タイトルを増やし、2004年には世界ランキング1位になりました。
オリンピック2連覇・世界選手権5度優勝
リン・ダンは男子シングルス史上初のオリンピック連覇を達成した選手です。オリンピック初出場となった2004年大会はまさかの初戦敗退に終わりましたが、2008年北京と2012年のロンドン大会で金メダルを獲得します。さらに世界選手権は計5回、アジア大会を計2回制しており、無類の強さを誇りました。
また、トマス杯(男子国別対抗戦)やスディルマンカップ(男女混合国別対抗戦)の優勝経験もあります。個人戦と団体戦のあらゆるビッグタイトルを獲得した唯一の選手です。
その功績から「キングオブバドミントン」と称され、世界最高のプレーヤーとされています。
好敵手!リー・チョンウェイの存在
リン・ダンには、リー・チョンウェイ(マレーシア)というライバルがいました。北京やロンドンオリンピックはじめ、世界選手権や全英オープン、アジア大会など、数々の決勝で2人は対峙しています。
通算の対戦成績はリン・ダンが大きく勝ち越していますが、2人の試合は非常にハイレベルであり、いずれも名試合です。
今でも伝説として語り継がれるのは、2016年リオオリンピックの準決勝でしょう。ともに30歳を超えていましたが、2人の超人が演じた死闘は決勝を上回る魅力がありました。
プレースタイルやコート上の振る舞いは対照的な部分が多かったわ。
そんな背景がライバル関係を、よりドラマチックにしていたのよね!
ヨネックスと用具契約が話題に!
当時、中国代表チームは「リーニン」とスポンサー契約を結んでいたため、基本的に他のメーカーの用具は使用できません。
一種のタブーに触れてしまったリン・ダンに中国内から批判が集まったそうです。
ただし、ヨネックスとの契約後には、リン・ダン専用モデルのアイテムが発売され、バドミ ントン界を盛り上げたのも事実でしょう。
時期 | ラケット名 | ラケットの概要 |
---|---|---|
2015年〜 | ボルトリックzフォースⅡ | ボルトリックシリーズ最上位モデル |
2016年〜 | ボルトリックzフォースⅡLD | zフォースⅡのリン・ダン特製カラーモデル |
2019年〜 | VOLTRIC LD-FORCE | ボルトリックをハードヒッター向けにアレンジしたリン・ダン特製モデル |
バドミントン界の四天王
リン・ダンをはじめとする2000年代に男子シングルスの表彰台を席巻した以下の4選手は、バドミントン界の四天王と呼ばれています。
- リン・ダン
- リー・チョンウェイ(マレーシア)
- タウフィック・ヒダヤット(インドネシア)
- ピーター・ゲード(デンマーク)
実力はもちろん、彼らのプレーには華があり、日本でも非常に人気のある選手でした。
4人のスターは、一緒にバドミントンの普及活動も行っています。コートを離れても大きな影響力を持つ点が、四天王と称される理由の一つです。
36歳で引退を表明
2020年に、当時36歳のリン・ダンは引退を表明します。
理由は体力の衰えや新型コロナウイルスによるオリンピックの延期によるものです。
当初、リン・ダンは2020東京オリンピックまでの現役続行を宣言していたため、突然の引退劇は多くのバドミントンファンを悲しませました。
プレーの特徴
リン・ダン選手の持ち味は、洗練されたフットワークです。
無駄のない足さばきで、コートの隅から隅まで素早く動けます。
また、どんなに厳しい体勢になったとしても上半身がブレることはなく、スムーズに次の動作に移れるのが特徴です。
元日本代表の田児賢一も「バドミントンに一番適した動き」と答えるほど、リン・ダンのフットワークは完成されたものでした。
年齢とともにプレースタイルを変更
リン・ダンの特徴は、年齢とともにプレースタイルをチェンジさせたことです。20代前半はスマッシュ&ネットを主体とした攻撃型でしたが、20代中盤からはディフェンスを中心にしたラリー型の選手になりました。
長く世界のトップで活躍できた背景には、自身の体力にふさわしい戦術を取り入れたことがあるでしょう。
強靭なフィジカル
リン・ダンはバドミントン選手とは思えないような鍛え抜かれた肉体の持ち主です。
鋼のボディから重くのしかかるようなスマッシュを放ち、ノータッチエースを量産しました。
試合終盤でもバテることはなく、30代以降も豊富な運動量でコートを疾走。
特に2016年リオオリンピック準決勝、第3ゲーム19-20のピンチで見せた異次元のコートカバー力は、多くのバドミントンファンが脱帽しました。
タゴケンもリオオリンピックのラリーを絶賛しているわ!
主な戦績
リン・ダンが残した輝かしい成績の一部をご紹介します。
注:全て男子シングルスの成績。
オリンピック
2008年北京オリンピック:金
2012年ロンドンオリンピック:金
世界選手権
2006年マドリード:優勝
2007年クアラルンプール:優勝
2009年ハイデラバード:優勝
2011年ロンドン:優勝
2013年広州:優勝
アジア大会
2010年仁川:金
2014年広州:金
全英オープン
2004・06・07・12・16年:優勝
まとめ
今回はリン・ダン選手のキャリアやプレースタイルの特徴をご紹介しました。
リン・ダンの力強くも華やかさのあるプレーは、多くのバドミントンファンを魅了しました。
今後、リン・ダンのような新たなるビッグスターが生まれることを期待しましょう。